将来の老後生活に向けて、自分がどれくらいの年金を受け取れるのか不安を感じている方は少なくありません。
特に「転職が多かった」「未加入の期間がある」などの理由から、厚生年金の加入期間が10年程度にとどまる場合、その受給額がいくらになるのかは死活問題です。
日本の年金制度は複雑であり、加入期間や現役時代の年収によって将来の受給額が大きく変動します。
本記事では、厚生年金に10年間加入した場合の年金受給額について、現役時代の年収別に徹底シミュレーションを行います。
さらに、受給額を増やすための公的なアプローチや、老後資金の不足を補うための効果的な資産形成・運用方法についてもゼロワン編集部が客観的に分かりやすく解説します。
老後の資金計画を具体的に立てるための第一歩として、ぜひ最後まで参考にしてください。
【厚生年金と国民年金】受給資格の仕組みと10年加入の位置づけ
日本の公的年金制度を正しく理解するためには、まずその基本構造を知る必要があります。
年金制度はしばしば「2階建て」と表現され、加入する区分によって将来受け取れる年金の種類や金額が異なります。
年金の2階建て構造における10年加入の意味
日本の年金制度の1階部分にあたるのが、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(老齢基礎年金)」です。
そして、2階部分にあたるのが、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する「厚生年金(老齢厚生年金)」となります。
老後にこれらを受給するためには、保険料を支払った期間や免除された期間などを合わせた「受給資格期間」が原則として10年以上必要です。
かつては25年以上の加入期間が必要でしたが、2017年7月の法改正により、10年以上の加入があれば年金を受け取れるようになりました。
厚生年金に10年間加入していた履歴がある場合、その10年間は国民年金と厚生年金の両方に二重で加入していたことになります。
したがって、将来は「老齢基礎年金」に加えて、働いていた時の収入に応じた「老齢厚生年金」を上乗せして受給することが可能です。
老齢厚生年金の上乗せ額を算出する計算式
老齢厚生年金の金額は、加入していた期間(月数)と、その期間中の平均的な給与・賞与の額(平均標準報酬額)に基づいて計算されます。
つまり、現役時代の給与が高く、加入期間が長い人ほど、将来もらえる厚生年金の額は多くなる仕組みです。
正確な受給額の計算は非常に複雑ですが、2003年4月以降に加入した期間については、以下の簡易的な概算式を用いておおよその年額を求めることができます。
老齢厚生年金(年額)の目安 = 平均年収 ÷ 12ヶ月 × 0.005481 × 厚生年金加入月数
例えば、平均年収が350万円の人が厚生年金に10年間(120ヶ月)加入していた場合、将来上乗せされる老齢厚生年金の額は以下のように計算できます。
「350万円 ÷ 12 × 0.005481 × 120ヶ月 = 約19万1835円(年額)」となり、月額に換算すると約1万6000円が上乗せされる計算です。
【老齢基礎年金と老齢厚生年金】10年加入でもらえる年収別の受給目安額
では、厚生年金に10年間加入した場合、実際に受け取れる総額はいくらになるのでしょうか。
ここでは、すべての人が受け取る「老齢基礎年金」と、現役時代の年収によって変わる「老齢厚生年金」の合計額を、年収別に試算します。
※今回の試算では、厚生年金の加入期間10年(120ヶ月)のみを未納なく支払い、それ以外の期間(30年間)は国民年金の保険料を一切支払っていない(合計の受給資格期間が10年)と仮定して算出しています。
老齢基礎年金は、40年間(480ヶ月)満額で保険料を支払った場合、年額約84万7000円(※令和6年度基準)となります。
今回は10年間(120ヶ月)のみの加入となるため、受け取れる老齢基礎年金は満額の4分の1(480分の120)となり、年額で約21万1750円(月額約1万7600円)として計算します。
平均年収150万円の場合の受給シミュレーション
厚生年金の加入期間中の平均年収が150万円だった場合、将来受け取れる年金の受給額目安は以下の通りです。
・老齢基礎年金:約21万1750円(年額)
・老齢厚生年金:約8万2215円(年額)
・合計受給額:約29万3965円(年額) / 月額約2万4500円
現役時代の平均年収が150万円の場合、受け取れる年金額は月々約2万4000円強となります。
この金額だけで毎月の生活費を賄うことは極めて困難であり、老後生活における不足額が非常に大きくなることが想定されます。
平均年収200万円・250万円・300万円の場合の比較
次に、現役時代の平均年収が200万円、250万円、300万円だった場合のシミュレーション結果を比較します。
厚生年金の加入期間は同様に10年とし、それ以外の期間の国民年金保険料の納付はないものとします。
【平均年収200万円の場合】
・老齢基礎年金:約21万1750円(年額)
・老齢厚生年金:約10万9620円(年額)
・合計受給額:約32万1370円(年額) / 月額約2万6800円
【平均年収250万円の場合】
・老齢基礎年金:約21万1750円(年額)
・老齢厚生年金:約13万7025円(年額)
・合計受給額:約34万8775円(年額) / 月額約2万9100円
【平均年収300万円の場合】
・老齢基礎年金:約21万1750円(年額)
・老齢厚生年金:約16万4430円(年額)
・合計受給額:約37万6180円(年額) / 月額約31万300円(※月額約3万1300円の間違いに注意、正しくは月額約3万1300円)
もし10年間の厚生年金加入期間以外にも、自分で国民年金保険料を納めていた期間(第1号被保険者期間など)があれば、老齢基礎年金の部分はその分増額されます。
ご自身の正確な加入履歴については、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で最新の情報を必ず確認するようにしてください。
【厚生年金】10年加入は本当に少ない?平均的な加入期間との比較
厚生年金に10年間加入という経歴は、将来年金を受け取るための必要最低限のハードルを越えた状態です。
しかし、日本の会社員全体や他の働き方をしている人々と比較すると、この「10年」という期間は非常に短いと言わざるを得ません。
一般的な会社員の平均加入期間と受給額の差
新卒で会社に就職し、定年退職までフルタイムの正社員として働き続けた場合、厚生年金の加入期間は35年〜40年近くに達します。
例えば、22歳から60歳まで38年間会社員として勤務した場合、加入月数は456ヶ月になります。
加入期間が10年の場合と比べると、厚生年金の部分だけで単純に4倍近い差が生じることになります。
これに比例して受給できる老齢厚生年金の額も大きく異なるため、10年加入の人の受給額は平均的な会社員と比べて著しく低くなります。
公的年金だけで老後の生活費の大部分を賄うことが想定されている平均的な受給世帯に対し、10年加入の場合は「年金はあくまで生活費の補助」と割り切り、自力で生活費を確保する手段を考えておく必要があります。
パートや非正規雇用における社会保険適用拡大の影響
以前は、パートタイム労働者や派遣社員といった非正規雇用で働く人々は、厚生年金の加入条件を満たさないケースが多々ありました。
しかし、近年は法改正によって短時間労働者に対する社会保険(厚生年金・健康保険)の適用範囲が大幅に拡大しています。
具体的には、2024年10月より、従業員数が51人以上の企業で働くパート・アルバイトに対しても、以下の要件を満たせば社会保険の加入が義務化されました。
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円以上)であること
・2ヶ月を超える雇用の見込みがあること
・学生ではないこと
この適用拡大により、今後は非正規雇用の労働者であっても、意図せず厚生年金の加入期間を10年以上に延ばせるチャンスが増えています。
勤務時間を少し増やすなどして社会保険に加入することは、将来の厚生年金受給額を地道に積み増すための極めて現実的な方法です。
【老齢厚生年金】10年加入の人が将来の受給額を増やす4つのアプローチ
厚生年金の加入期間が10年と短いからといって、将来の年金増額をあきらめる必要はありません。
国の公的制度をフルに活用することで、受け取れる年金の基礎となる金額や受給率を向上させることが可能です。
60歳以降の「国民年金任意加入」による基礎年金の底上げ
国民年金は、原則として20歳から60歳までの40年間保険料を支払うことで満額が支給されます。
厚生年金に10年間しか加入しておらず、他に国民年金の納付履歴がない場合、納付済期間は10年(120ヶ月)しかありません。
この場合、60歳から65歳までの5年間、国民年金に「任意加入」して保険料を支払うことで、納付済期間を15年(180ヶ月)に増やすことができます。
これによって、将来受け取れる老齢基礎年金の額を確実に年間約10万円以上増やすことが可能です。
受給開始時期を遅らせる「繰下げ受給」による増額
公的年金の受け取りは原則65歳からですが、受給開始を66歳から最大75歳まで遅らせる「繰下げ受給」を選択できます。
年金の受給を1ヶ月遅らせるごとに、年金額は生涯「0.7%」増額されます。
例えば、受給を70歳まで5年間遅らせた場合、増額率は42%となり、75歳まで10年間遅らせた場合は最大84%も受給額がアップします。
元の受給見込み額が少ない場合でも、繰下げ受給を利用することで、毎月受け取れる金額のボリュームを大幅に膨らませることができます。
未納・免除期間がある場合の「追納・後納」の手続き
過去に国民年金保険料の未納期間や、学生納付特例・免除を受けていた期間がある場合は、後から保険料を支払う「追納」や「後納」を検討しましょう。
保険料の免除や猶予の承認を受けた期間については、10年以内であれば遡って納付(追納)することができます。
また、過去5年以内に未納期間がある場合は、特定の条件を満たすことで「後納」が利用できる場合があります。
免除された期間をそのまま放置しておくと、将来受け取る老齢基礎年金が減額されたままとなってしまいます。資金に余裕ができたタイミングで速やかに追納手続きを行うことが推奨されます。
【ゼロワン編集部】が提案する将来の年金不足を補うための老後資金準備法
厚生年金の加入期間が10年と短く、将来の公的年金額が低水準にとどまることが確実である場合、早い段階から公的年金以外の「自分でつくる年金」を確保することが不可欠です。
ゼロワン編集部が、老後の経済的基盤を強化するための具体的な資産形成・運用アプローチを提案します。
公的制度を活用した税制優遇付きの資産形成(iDeCoや新NISA)
老後のための長期的な資金作りに欠かせないのが、国が推奨している税制優遇制度の活用です。
特に「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と「新NISA(少額投資非課税制度)」は、資産運用時の税負担を大幅に軽減できる強力なツールです。
・iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除となり、毎年の所得税や住民税を軽減しながら老後資金を積み立てられます。
・新NISA:年間最大360万円、生涯で1800万円までの投資枠における運用益が永久に非課税となります。いつでも引き出し可能な柔軟性が魅力です。
これらの制度を利用して、投資信託などの積立投資を20年、30年と長期にわたって継続することで、複利効果を活かした効率的な老後資金の構築が可能になります。
初心者でも手軽に始められる「ゼロワンシステム」による資産運用
老後資金を準備するにあたって、「投資の勉強をする時間がない」「相場を毎日チェックするのは難しい」という方も多いでしょう。
そのような投資初心者や忙しい方にとって、自動で資産運用をサポートしてくれるシステムの活用は有効な選択肢となります。
例えば、AIを用いた自動売買システムである「ゼロワンシステム」は、特別な投資知識がなくても少額から資産運用をスタートできるサービスです。
初期費用1万円から完全放置で取引を自動化できるため、仕事や家事で忙しい日常を送りながら、効率よく将来に向けた資産形成を図ることができます。
よくある質問
まとめ:【厚生年金】10年加入の現実を受け止めて今からできる資産形成を
厚生年金の加入期間が10年あれば、法的には将来年金を受け取ることが可能ですが、その金額だけで老後の生活を支えることは現実的ではありません。
年収別シミュレーションでも示した通り、10年加入時の受給額は月額で数万円程度にとどまるため、老後資金の不足を補うための自己防衛策が極めて重要になります。
老後の経済的不安を解消するためには、公的な年金額を増やす「任意加入」や「繰下げ受給」などの制度的なアプローチを実践することが第一歩です。
それに加えて、新NISAやiDeCoを利用した中長期的な積立投資、あるいは投資の手間を省き効率的に資産を運用できる「ゼロワンシステム」のような先進的な自動売買ツールの導入を組み合わせることで、強固な老後資金を構築できます。
・10年加入でもらえる年金額は現役時代の年収が300万円の場合で月額約3万1000円が目安
・国民年金の任意加入や繰下げ受給制度をフルに活用して、受給できる基礎年金額を底上げする
・iDeCoや新NISA、自動売買システム等を利用し、若いうちから「自分でつくる年金」を準備する
現状の加入期間や将来の受給額を早期に把握し、最適な資産運用のパートナーを見つけることで、豊かなセカンドライフへの道が開かれます。
限られた公的年金に依存するのではなく、主体的に資産を「守り・増やす」ための行動を今から起こしていきましょう。


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